公開日:2026.09.14

最終更新日:2026.09.14

起業を経てCOOへ。事業の本質を捉え、目の前の相手と価値を創る

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コンテンツライター
R.M

本連載『キャリアの寄り道』では、株式会社YOAKEのメンバーが歩んできた道のりを辿り、その時々の心の内にある葛藤や変化を丁寧に紐解いていきます。

第7回となる今回は、新卒で教育現場を経験したのち、D2Cスタートアップを経て起業。現在は株式会社YOAKEのCOOとして組織を牽引する新井大介さんに話を伺いました。これまでの歩みの中にあった情熱と、変化を恐れずに進み続ける理由に迫ります。

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目次

教育現場から確信した、体育の授業が持つ「健康の習慣化」という新たな可能性

――新井さんのファーストキャリアは、私立の進学校での体育教員だったそうですね 。そもそも、なぜ教員を目指されたのでしょうか?

新井:始まりは至ってシンプルなんです。高校生のころ、体育教員を目指している仲間と一緒に過ごす中で、自然と同じ道を意識するようになりました。思い返せば、中学の担任が体育の先生で、いつも自分を気にかけてくださっていたことが嬉しかったんですよね。自分の中で「体育の先生ってカッコいいな」と、好印象でした。

僕が教員生活を始めたのは2020年なので、まさにコロナ禍の真っ只中。体育の授業をリモートで行うという、かなり特殊なスタートでしたね。授業で卓球やテニス、サッカーといったスポーツを教えながら、ふと思ったんです。この子たちは大人になってから、これらのスポーツをやるのだろうか、と。おそらくですが、その答えは「いいえ」で、よほどのことがない限りやらなくなると思うんですよね。

じゃあ、体育の授業が大人になってからの人生にどう繋がるのか。行き着く答えは「健康」でした。学生時代に体を動かす習慣やきっかけをつくり、大人になっても健康であり続ける状態を目指す。体育という教科の本質は、広く捉えれば「健康を保つための習慣づくり」なんだと自分の中で深く納得がいきました。

同世代の起業家からの刺激とD2Cビジネスへの注目が導いた、スタートアップへのキャリア転換

――1年半ほど教員として勤められた後、ビジネスの世界、それもスタートアップである株式会社TENTIALへとキャリアを大きく転換されたそうですね。この決断の背景にはどのような心の動きがあったのでしょうか?

新井:教員からスタートアップ企業への転身は、経歴だけを見ると違う世界に映るかもしれませんね。でも、私の中には常に一貫した問いがあったんです。それは「どうすれば社会に対して貢献できるか、インパクトを残せるか」でした。

大学を卒業する直前、タイミーという単発・スキマバイトアプリを利用していたので、気になって調べてみたら、代表の方が自分と同い年だと知りました。僕が教員になった2020年のタイミングで、同世代の起業家が2桁億円規模の資金調達を実施して社会を動かしている。その事実を知った瞬間、強烈な刺激を受けました。

当時はアメリカでD2Cのビジネスモデルが急速に伸びていて、日本でもD2Cのスタートアップが出てきていた時期。ポッドキャストなどを通してスタートアップの情報収集する中で出会ったのが、当時は靴のインソールを主力プロダクトとして展開していたTENTIALでした。

――教育現場からD2Cのスタートアップへ転職するにあたって、不安や迷いはありませんでしたか?

新井:そうですね。迷いというよりも、共感とワクワク感が勝っていましたね。TENTIALの代表の方は自身が心臓の病気を患った経験があり、「いつ死ぬかわからない」という切迫感から、人々が健康に生活を送るためのコンディショニングプロダクトを展開されていました。その想いやストーリーに深く共感しましたし、そうしたプロダクトを世の中に広めることで、使う人の生活が豊かになる手助けができるなら、これ以上素晴らしいことはないなと。

形は違えど、私が届けたい価値の本質は、健康を保つことにありました。その意味で、TENTIALが掲げるコンディショニングという領域は、私が教育現場で目指していた軸とまっすぐに繋がっていたんです。

――TENTIALでは、主力商品であるリカバリーウェア「BAKUNE」シリーズの大手小売店への法人営業や店舗販売設計など、売り場への陳列交渉などを担当されたそうですね。ビジネスの最前線に飛び込んでみて、いかがでしたか?

新井:非常に刺激的で濃密な時間でした 。ただ、スタートアップは常にスピード感が求められます。TENTIALが急速な成長を遂げ、上場準備(N-2)のフェーズに入っていく中で、自分自身もプレイヤーとして成果を追い求めながら、ビジネスの構造や大手小売店への法人営業における交渉術を徹底的に叩き込んでいただきました。

一方で、組織が大きくなり、上場に向けた体制が整っていく中で、自分の内側にある別の感情が芽生え始めたんです。スタートアップの最前線で会社員として働く中、「同世代の起業家たちが命を懸けて事業を動かしている姿」と、「一会社員として成果を追いかけている自分」との間に、どこか焦りに似たギャップを感じるようになっていきました。

母の体験からアプリを開発したことで見える、事業運営の現実

――2023年には株式会社NEWLを創業されたそうですね。ご自身で事業を立ち上げるにあたり、どのようなアイデアからスタートしたのでしょうか?

新井:起業を決意したとき、まずは身近な課題を解決したいと考えていました。課題と向き合い、どう解決できるかを模索する中で、自ずと一般消費者向けの事業に取り組むことになりました。当時から、日々の習慣が人の健康や人生に大きな影響を与えることに強い関心があったのですが、それが自分の中で明確な答えとして定まったのは、ある日、母親が事故に遭ったことがきっかけでした。

医師から「一生車椅子で、もう歩けないかもしれない」と告げられましたが、奇跡的に1週間後には自分の足で歩き回れるまでに回復。医師の見立てでは、60歳だった母は普段から縄跳びやウォーキングなどの運動習慣があり、周りの筋肉がしっかり発達していたからこそ、骨の損傷を筋肉が支えて早期回復に繋がったのではないかとのことでした。医学的な根拠は断定できませんが、普段からの運動習慣が人生を大きく変えると確信しましたね。

――具体的にはどのようなサービスを開発されたのですか?

新井:私が調べた限りでは、日本のジム通い率は人口の3〜5%程度と言われており、欧米の約20%と比べると大きな開きがあります。ジムに通うほどハードではなく、かといって三日坊主で終わらない、スマートフォンひとつで手軽にできる運動の選択肢を作りたいと考えました。

コロナ禍で教員をしていたころ、生徒たちにYouTubeのフィットネス動画を見せて授業を行っていた経験から、家で運動する大きな市場が存在するという手応えを得ていました。そこで、カメラで身体を映すと骨格をリアルタイムで認識するテクノロジーを活用し、ユーザーの動きに合わせてアニメーションが動くような、エンタメ要素を掛け合わせたエクササイズショート動画アプリ「NEWL(ニュール)」を企画・開発。優秀なエンジニアを集めて開発チームを組成し、独立系ベンチャーキャピタルからの資金調達も実施して、2024年4月にリリースしました。

――ゼロから組織を立ち上げ、プロダクトを世に送り出すまでの苦悩も大きかったのではないでしょうか?

新井:はい。事業を立ち上げること以上に、運営し続けることの難しさを突きつけられました。スタートアップ型のビジネスモデルは、最初に開発コストなどの赤字を掘ってユーザー数を伸ばし、その後にマネタイズしていくのがセオリーです。そのため、常に次の資金調達に走り続けなければなりません。

最後の半年間ほどは、僕自身が資金調達の動きに奔走するばかりで、肝心のアプリ開発や事業の推進に時間を使えない状態になっていました。起業前の資本政策や準備の甘さもあったと痛感しています。さらに、日本のフィットネス市場の将来的な市場規模や国内での成長性、当時のチームのケイパビリティなどを客観的に見つめ直したとき、本当にNEWLに関わるステークホルダーにとってプラスになるかどうかを深く考えました。

先輩経営者からは「今ここで無理を重ねるよりも、一度しっかりと区切りをつけて、この経験を次の挑戦に活かせばいい」と。苦渋の決断ではありましたが、サービスおよび法人をクローズすることを決めました。創業から閉業までの時間は、僕のキャリアの中でも密度の濃い「寄り道」でした。

日本のビジネス環境に適した成長の形を探求する中でYOAKEと出会った

――次の一歩としてYOAKEを選ばれた理由は何だったのでしょうか?

新井:NEWLでの挑戦を通して、スタートアップ型の会社の作り方に対して、もちろん自分自身の経営能力の至らなさも大いにありましたが、同時に日本における環境面での難しさや限界も感じました。もちろんメルカリやタイミーのような大成功例もありますが、そういったアプローチだけが成功のルートではない、と。

それよりも、一歩一歩手堅く、地に足をつけて事業と顧客に向き合い、堅実に成長していく中小企業・ベンチャー型の進め方の方が面白いのではないかとも考えました。YOAKEはまさに、代表の山田が一人で創業し、愚直に信用を築き、仲間と共に成長してきた会社です。

山田は物腰が柔らかい上、思考の深さや事業に対するパーパスにおいて、最初から共感することができました。僕自身がスタートアップの世界にいたからこそ提供できる知見や推進力があると感じましたし、ここでなら自分の力を発揮して組織の成長に貢献できると思いました。

役割が変わっても揺るがない、「目の前の相手と社会のために価値を届ける」という想い

――参画当初はどのような仕事をされてましたか?

新井:ビジネスプロデューサーという役割のもと、案件ごとにいかにビジネス成果を出すかという点を重視していました。しかしCOOに就任してからは、YOAKE全体の事業成長、売上目標の達成、市場におけるポジショニングの確立など、組織全体を俯瞰して見るように大きく変化しました。

YOAKEの強みは、Webサイト制作や広告運用、SEO、CRMなど、デジタルマーケティングにおける複数の専門領域を切り出すだけでなく、事業成長に応じた総合的なパートナーとして一貫支援できる支援スタンスにあります。単なる下請けの作業者ではなく、クライアントの事業に深く入り込み、あたかも自社のプロダクトやサービスであるかのような当事者意識を持って伴走する。そうした姿勢を組織全体として体現し、クライアントから真の事業成長パートナーとして信頼いただけるよう、日々愚直に尽力しています。

――新井さんの豊富な経験が、現在のCOOとしての強い意思決定やスタンスに結実していると感じます。

新井:そう言っていただけると嬉しいですね。自分の最大の強みは、どんな困難な状況であっても前向きにアグレッシブに向かっていく姿勢と、それを支える精神的・身体的なタフさだと思っています。

クライアントにとっても、社内のメンバーにとっても、自分以上に熱量を持って悩み、課題解決のために一緒に攻めてくれるパートナーが隣にいること以上に安心できることはないはずです。教員時代に生徒と向き合っていたときも、NEWLでゼロから事業を立ち上げていたときも、根底にあったのは「目の前の相手や社会のために、どう価値を出すか」という想い。過去の点と点が、今YOAKEでCOOとして挑む日々の中で、ひとつの太い線として繋がっていると感じます。

――最後に、未来の仲間へメッセージをお願いします。

新井:支援会社として最も面白い瞬間は、クライアントの事業に深く入り込み、その領域をブランディングやPR、全体のマーケティングへと拡張しながら、共に成長を分かち合えることです。関わる案件の幅が広がることは、支援する社内メンバーにとっても大きな成長の機会になります。働く一人ひとりが自分の仕事に意味を見出し、生産性高く幸せに働ける組織を作っていきたいですね。

デジタルマーケティング支援というビジネスは、突き詰めればすべて人対人のコミュニケーションの上に成り立っています。深く対話し、信頼関係を築くことでクライアントの事業が伸び、結果として自社の事業も伸びていく。

この原則は社内のチームづくりも全く同じです。メンバー同士がオープンに、相互理解を深める土壌があってこそ、全員が自律しながら挑戦できる組織が生まれると思います。社内外を問わず、こうした人と人との関係性を何よりも大切にし、組織としてさらに強固な文化を育てていきたいと考えています。

YOAKEは守備範囲が広く、挑戦しようとする意志のある人に対して無限の成長機会を用意できる場所です。マーケティングに少しでも興味があり、自分の枠を超えて一歩を踏み出したいと思っている人は、ぜひ僕たちと一緒に新しい景色を創り出していきましょう。

明日へのTips

新井さんの歩みから学ぶ、明日へのちょっとしたヒント。

  • 1.

    一貫した届けたい価値を見つける

    • 2.

      何か始めたことにに区切りをつける勇気を持つ 

      • 3.

        対話を重ねて、人に真摯に向き合う 

        コンテンツライター
        R.M
        愛知県名古屋市出身、東京都在住。紙・Web問わず“人”にフォーカスした取材記事を中心に執筆。耳のお供はポッドキャスト。本とコーヒーと、ギャラリーがあれば、どこでも生きていけそうです。
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