公開日:2025.11.14

最終更新日:2025.11.17

BIツールにおけるダッシュボードとは?目的・機能・作り方・活用ポイントをわかりやすく解説

  • BI
CEO
山田翔大(やまだ しょうた)

ビジネスの現場では、膨大なデータをスピーディに把握し、意思決定へつなげることが求められています。そこで役立つのが、情報を可視化して一元管理できるBIツールのダッシュボード。売上やKPIの変動をリアルタイムで確認できるため、経営層から現場担当者まで幅広く利用されています。本記事では、BIツールのダッシュボードの基本、搭載機能、構築ステップ、活用のポイントまで体系的に解説します。初めての方でも理解しやすい構成ですので、自社導入の検討にお役立てください。

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目次

BIツールにおけるダッシュボードとは

ここでは、BIツールのダッシュボードの役割や基本的な位置づけについて解説します。

グラフや指標を一画面に集約し、状況を可視化する仕組み

BIツールのダッシュボードとは、複数のデータソースから集めた情報を、グラフや集計表として一画面にまとめて表示する仕組みのことです。売上推移やKPIの進捗、各部署の状況などを直感的に理解できるため、意思決定をスムーズに進められます。従来のExcelでは複数ファイルをまたいで確認する場面が多く、手作業での更新に時間がかかっていました。ダッシュボードでは、最新データが自動的に反映されるため、常に現状を把握できるでしょう。なお、スマートフォンやタブレットから参照できる点も魅力です。

レポートとの違い

BIツールにおいてダッシュボードとレポートは混同されがちですが、目的や使い方が異なります。ダッシュボードはデータの状況を瞬時に把握するための可視化が中心で、定期的な確認や迅速な判断に適しています。一方、レポートは詳細な分析結果や背景を整理し、文脈を伴って報告する用途で利用される傾向にあります。たとえば、営業戦略の策定ではダッシュボードで現状を確認し、必要に応じてレポートで深掘りした内容を共有する流れが有効です。両者を適切に使い分けることで、業務効率が高まります。

BIにおけるダッシュボードを利用するメリット

ここでは、BIにおけるダッシュボードを導入することで得られる代表的な効果を解説します。

最新データをリアルタイムで把握できる

BIのダッシュボードは、データソースと連携し自動更新される仕組みのため、常に最新状態を確認できます。これにより、日次・週次レベルで報告を待つ必要がなくなり、時間差による判断の遅れを防げます。従来のExcel管理では、担当者の手動更新が前提で、情報の鮮度が一定でないケースが多く発生しがちでした。更新作業には工数もかかり、ヒューマンエラーのリスクもつきまといます。

その点、BIのダッシュボードは売上速報・在庫数・各部門のKPIなど、変動が大きい指標を即時に把握できるため、現場の状況判断に役立ちます。予兆に早く気づけるため、施策転換やトラブル対処のタイミングを逃しません。リアルタイムに状況を理解し、次のアクションへ素早く進める体制を構築できる点は大きな強みです。

意思決定のスピードが向上する

必要な情報が一画面に集約されることで、データ収集やレポート確認にかかる手間を大きく削減できます。複数資料を横断する必要がないため、判断までのリードタイムが短縮されます。たとえば、店舗ごとの売上・広告施策の効果・在庫状況などを同時に俯瞰できれば、どのエリアへ追加投資すべきか、どの商品を補充すべきかを素早く判断できるでしょう。

また、視覚的に整理された情報は理解しやすく、経営層や現場担当者の意思疎通も円滑化します。状況を迅速に共有できるため、判断を待たずに施策へ着手できる場面も生まれます。これにより、改善活動のPDCAを高速に回せる点が魅力です。意思決定のスピードは競争力に直結するため、導入効果として高い価値を持ちます。

売上・進捗を即時にチェックできる

BIのダッシュボードでは、売上推移や施策成果を時系列やセグメント別に表示できます。部署・店舗・担当者ごとの成果を比較することで、強みや課題を明確にできます。たとえば、広告投資においては、キャンペーン別のCV数やCPAを一覧で把握できるため、改善が必要な施策を迅速に見つけられます。成果が出ている要因を特定し、横展開する判断も可能です。

また、予実管理でも役立ちます。目標との乖離が大きい場合、ただちに追加施策や調整を検討できるため、リスクを抑えられます。把握が遅れて手遅れになる事態を防ぎ、適切なタイミングで打ち手を打ち込める点がメリットです。

直感的にデータを理解しやすい

BIのダッシュボードは、棒グラフ・折れ線グラフ・散布図・円グラフなど、多様な表現方法で情報を提示できます。数表では見えづらい特徴や相関関係も、直感的に理解しやすくなります。たとえば、売上推移と広告費を折れ線グラフで重ねて表示したり、顧客属性を円グラフで比較したりすることで、全体像を把握しやすくなります。

専門知識がなくても理解できるため、データを活用できる人の裾野が広がるでしょう。視覚的なわかりやすさは、組織内の共通認識を醸成し、議論の質を高める役割も果たします。現場と経営層が同じ情報を見て意思決定できる点が大きな利点です。

関係者でデータを共有しやすい

オンラインで利用できるBIツールが増えており、離れた拠点やリモート環境からでも同じ情報へアクセスできます。これにより、意思決定のスピードが向上し、連携ミスを防ぎやすくなります。また、閲覧権限を細かく設定できるため、必要な人が必要な情報だけを安全に閲覧できる体制を整えられます。部署間でデータを統一し、判断材料を共有できれば、認識のズレが生まれにくいです。

加えて、ダッシュボード上のデータをもとにディスカッションしやすくなるため、会議での議論もスムーズに進みます。情報が単一基準で統一されることにより、合意形成も進めやすいでしょう。

BIにおけるダッシュボードでできること(主な機能)

ここでは、BIのダッシュボードに搭載される代表的な機能を紹介します。

フィルタや絞り込みによる視点変更

フィルタ機能は、データを「期間」「地域」「部門」「商品カテゴリ」などで絞り込み、異なる視点で把握できる仕組みです。全体では見えない特徴や変化を発見でき、施策の効果検証に役立ちます。たとえば、特定期間に絞れば施策の手応えを確認でき、地域別に切り替えれば強みや課題を素早く把握できます。

また、必要なデータへすぐアクセスできるため、現場判断や会議準備が効率化します。Excelでは抽出条件の設定に時間がかかりますが、BIのダッシュボードなら視点を切り替えるだけで済む点が利点です。成果の高い取り組みを展開する際にも使え、改善のスピードを高めます。意思決定の迅速化につながる仕組みです。

ドリルダウン分析による深掘り

ドリルダウン分析は、集計された指標を段階的に詳しく掘り下げ、要因を特定するための仕組みです。たとえば、全体売上から商品カテゴリ別、さらに単品・顧客属性へと細かく辿ることで、成果の源泉や課題の所在をつかめます。全体数値だけでは判断しづらい背景が見えやすくなり、改善の方向性を明確にできるでしょう。

また、必要な詳細へスムーズにアクセスできるため、追加資料を探す手間も減らせます。Excelなどで複数シートを追いかける必要があった作業も、BIのダッシュボードでは画面上で完結します。分析が直感的になり、議論も進めやすくなります。原因を迅速に把握することで、効果的な施策検討へつながります。

異常値のアラート通知

異常値のアラート通知は、事前に設定した条件を満たした際に自動で知らせる仕組みです。売上が目標を大きく下回った場合や、在庫が一定量を超えて不足しそうな状況を即座に検知できるため、リスク対応が早まります。手入力や目視確認では見落としが起こりやすく、担当者の判断に依存しがちですが、仕組みとして異常を捉えられる点が強みでしょう。

また、通知はメールやアプリ内など、複数の方法で受け取れるため、出先でも状況を把握できます。異常の傾向を早期に掴むことで、原因調査や改善施策へ素早く移れます。トラブルの拡大を防ぎ、現場の負担を軽減します。担当者間で情報共有しやすく、組織としての対応力が高まります。

KPIの詳細確認

KPIの詳細確認は、目標指標を単に表示するだけでなく、その内訳や推移を深く把握できる仕組みです。たとえば、売上KPIを確認する際、全体数値だけでなく、顧客区分・商品カテゴリ・チャネル別などに分解し、どこが伸びているかを判断できます。目標との差分を把握しやすく、改善の着眼点を得やすい点が利点でしょう。

また、推移をグラフで並べることで、成長基調か停滞かをひと目で理解できます。達成度が低い場合は、要因を掘り下げて改善策を検討しやすく、達成している場合は成功要因を横展開する判断も可能です。細かな分析を前提に、現場での行動につなげやすくなります。意思決定の質を高める土台となる機能です。

シミュレーションで将来予測

シミュレーション機能は、過去データや現在の数値をもとに将来の推移を試算できる仕組みです。売上計画や需要予測など、将来像を描く際に役立ちます。たとえば、広告投資額を変えた場合の成果予測や、販売数量の増減による利益影響を試算することで、意思決定に必要な判断材料を得られるでしょう。複数パターンを比較することで、リスクとリターンのバランスを見極めやすくなります。

また、変動要因を調整しながら試算できるため、計画策定の精度が高まります。関係者間で未来の見立てを共有しやすく、議論の質も向上します。事前にリスクを把握し、対策を検討できる点が強みです。現実的な数値を踏まえた事業計画の作成にも寄与し、意思決定を後押しする機能です。

レポートやデータ書き出し

レポートやデータ書き出し機能は、ダッシュボード上の情報をPDF・Excel・画像形式などで保存し、社内外で活用できる仕組みです。会議資料や定例報告を作成する際、ゼロから資料を作る必要がなく、作業負担を大幅に削減できます。担当者の属人的な加工に頼らず、統一フォーマットで出力できる点も利点でしょう。

また、フィルタを使って必要な範囲だけを抽出して書き出せるため、用途に応じて柔軟に活用できます。メール添付や共有ストレージへ保存すれば、関係者への連携もスムーズです。データの抜き出し操作がシンプルで、情報共有を円滑にします。必要な情報だけを正確に伝えられ、意思決定のサポートにも役立ちます。

BIにおけるダッシュボード構築のステップ

ここでは、BIのダッシュボードを構築するときの基本的な流れを紹介します。

目的・利用者(5W1H)の整理

最初のステップは「誰が・何のために・いつ・どこで・どのように使うか」を明確にすることです。目的が曖昧なまま進めると、情報量が多すぎて使いにくい形になったり、逆に必要な指標を逃したりしてしまいます。たとえば「営業マネージャーが毎週の会議で売上状況を確認する」「店舗責任者が在庫を日々チェックする」といった具体像を描くと、必要な視点も定まります。

また、利用者によって重要視する指標が異なる点にも注意が必要です。経営層なら全体収益や粗利率が重要ですが、現場担当者の場合は店舗別売上や顧客単価が重要になるケースがあります。目的に沿う形で設計できれば、無駄な情報を省き、判断に直結する構成へと近づきます。使われ続けるダッシュボードを実現するための大前提です。

KPI・指標を選定する

利用目的が固まったら、追うべき指標を選定します。売上・利益・在庫などを何でも載せればよいわけではなく、最小限ながらも本質を捉える指標へ絞ることが重要です。指標を詰め込みすぎると、かえって判断が難しくなり、視認性も低下する事態になりがちです。

たとえば、EC事業であれば「売上」「客単価」「購入回数」に加え、流入経路別や商品カテゴリ別のデータが判断材料になります。ただし、利用者ごとに必要な指標が違うため、優先度をつけることが大切です。KPIの整理はダッシュボード品質を決める重要工程であり、後工程のデータ構造や画面設計にも影響します。妥当な指標選びが意思決定の精度を底上げします。

データ要件の整理(取得・加工)

必要なデータをどこから取得し、どのように加工するかを整理します。データの所在が不明確なまま進めると、設計が後戻りし、構築期間が延びてしまう可能性があります。たとえば、売上データが複数システムに分散している場合、統合ルールや加工前提を整理しないと一貫性を保てません。

さらに、加工処理の設計も重要です。集計や名寄せなどの処理をどこで行うかによって、表示速度やメンテナンス性が変わります。適切な設計ができれば、鮮度の高いデータを安定して扱えるでしょう。運用時のトラブルも減らせます。

UI要件の定義(構成・表現方法)

ダッシュボードに表示する内容が定まったら、画面構成や可視化形式を決めていきます。重要な指標ほど目立つ位置に配置し、利用者が迷わず確認できる導線を意識します。折れ線グラフ・棒グラフ・円グラフなど、表現方法を使い分けられると理解が深まります。

また、色・区分・フォントなども整えることで、視認性が高まります。情報を詰め込みすぎないことも重要です。使いやすいUIを意識することで、日々の利用定着にもつながります。

運用設計と改善

ダッシュボードは作って終わりではなく、利用状況を踏まえて改善を続けることで価値が高まります。利用者の声を聞き、操作が複雑でないか、指標が適切かを確認しながら改修を重ねていく流れが効果的です。

また、データ更新頻度や保守体制も明確にする必要があります。担当者不在で更新が止まると機能しなくなるため、運用ルールを定義しておくことが欠かせません。継続的な改善によって、ビジネス変化に対応し続けるダッシュボードへ育てることができます。

BIにおけるダッシュボードを成功させるポイント

ここでは、BIのダッシュボードを効果的に活用するための重要なポイントを解説します。

目的と活用シーンを明確化する

最初に取り組むべきは、何を判断するためにダッシュボードを利用するのかという目的の明確化です。目的が曖昧なまま構築すると、情報過多で見づらい画面になったり、誰にも使われない状態が生まれます。「営業会議で週次の売上進捗を確認する」「店舗責任者が在庫量を把握し、仕入れ判断に活かす」といった利用場面が定義できれば、必要な指標や表現方法が明確になり、画面構成にも反映できます。

対象者によって重視する内容が異なる点も重要です。経営層は全体収益や粗利率を気にしますが、現場担当者は店舗別売上や顧客単価を求めるケースが多くあります。こうした違いを踏まえて設計することで、判断に直結する構成につながり、利用定着も促されます。

必要な指標に絞り込む

情報を詰め込みすぎると、画面が複雑になり判断が難しくなります。最重要指標に絞り込み、メリハリのある表示にすることが大切です。売上・客数・客単価の三つを中心に表示し、カテゴリや地域別へ切り替えられる構造にすると、要点を押さえながら深掘りできる仕組みが作れます。

部門や役割ごとに重視する指標が変わる点にも注意が必要です。事前に合意形成しておくと運用がスムーズになり、利用者が迷わない構成を実現できます。必要な情報へ最短でアクセスできる画面設計により、使いやすさと判断スピードが高まります。

可視化方法を最適化する

同じデータでも、表現方法が異なるだけで理解しやすさに差が出ます。棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフなど、特徴に応じて可視化形式を使い分けることが重要です。

売上推移を把握したい場合は折れ線グラフ、構成比を確認するシーンでは円グラフなど、それぞれに適した手段があります。比較・順位を示したい場合は棒グラフが向くケースが多いです。色や強調箇所を工夫すると視線誘導が生まれ、重要情報へたどり着きやすくなります。適切な可視化設計は専門知識がない人でも状況を直感的に理解でき、コミュニケーションをスムーズにする仕組みです。

ビジネス判断に活かせる情報を表示

ダッシュボードは、状況を確認するだけでなく、次のアクションへつなげられる構造が求められます。成果の背景や課題が示唆される画面になっていれば、判断が容易になります。売上の着地だけに留まらず、前月比・前年比・構成比などの補助指標を並べることで、課題のある分野を絞り込めます。変化の背景を読み取りやすくなり、改善方向を決めるうえでも役立ちます。利用者が気づきを得られる仕組みが整えば、会議の議論が深まり、日常の意思決定も進みやすくなります。判断の質を左右する重要な視点です。

継続的に運用・改善する

ダッシュボードは構築して終わりではありません。利用状況を踏まえて改善を続けることで価値が増します。利用者の声を取り入れ、指標が適切か、操作性に課題がないかを定期的に点検することが大切です。施策変更やビジネスモデルの変化に合わせて必要指標を更新し、不要な情報を整理することで、常に使いやすい状態が維持できます。陳腐化を防ぎ、最新状況に即した判断がしやすくなります。運用ルールを定めておくと、データ更新が滞るリスクを抑えられます。変化に対応し続けることで、意思決定の質向上へつなげられます。

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山田翔大(やまだ しょうた)
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